2007年6月8日現在、このサイトに掲載している写真のうちデジタル撮影したものは、この「旧長崎刑務所跡」シリーズだけだ。EOS10Dで撮影し、Mac上のPhotoshopでモノクロ化したもの。実は、この「Photoshopでモノクロ化」というものに、まだ抵抗を感じている。

　時代は急速にデジタル化を余儀なくされ、写真界もデジタル一色に染まってしまった。ボクは、ギリギリアナログに間に合った世代であり、アナログの良さを知り、デジタルの便利さも知っている。言わば、贅沢な世代なのかもしれない。しかし同時に、アナログの呪縛から抜け出すことができないままであり、デジタルな写真界からは置いてきぼりを食らうだろう世代でもある。

　Photoshopを使いこなし、自由にレタッチし、新しい表現に抵抗を感じない、アナログ未経験世代が新しい方向に写真界を導いて行くのだろう。デジカメ→パソコン→メディアという流れが当たり前になり、暗室未経験が当たり前になり、彼等の部屋が酸っぱい香りに満ちあふれることもなくなるんだろう。

　過去の産物にすがりつき、前へ進むことを躊躇する臆病者。それは、歳をとったということなんだろうか。それもまた一興。もうしばらく、ゆるりと時代に逆らってみよう。